スキップしてメイン コンテンツに移動

「書店幻想」を一通り書き終えて

 やや遠回りに話してみます。

  新型コロナウイルス感染症の蔓延する状況は、ワクチン開発の進展によりやや収束の兆しを見せてきています。この見えてきた兆しに対して、何とも複雑な思いがするのは、ワクチンの持つ安全性について様々な意見があるということもそうですが、それ以上にこのコロナ禍がボロボロにした健康と経済と、あるいは言論の状況について、疲れ切っている自身を感じるためです。

 健康は身体の面でも、精神衛生の面でも深く傷ついたと感じています。生活習慣そのものの急激な変化に対して、私はそう強くはありません。また人と人との間でのモラルを巡る諍いには心底疲れてしまいました。

 経済については、今まで共依存的に共有していたプラットフォームが全世界的に揺らぐという未曾有の事態に、生に対する危機意識といった感情が出てきたことを感じています。この臨戦態勢とも言える状況をほどくには、時間がかかるかも知れません。災後には自身に何らかのフラッシュバックが現れるのではないかと考えるほど、経済の先行きには不安感があります。
 どこか漠然とした不安です。

 言論の状況にもすさんだ印象を受けています。それはこの新型コロナ蔓延という状況下にあって、いつになく言葉が烈しいという思いもありますが、私の置かれている環境について言えば、むしろ人のモラルや思想、信条について、平時には守られていた境界線を越えての諍いが起こりやすくなった気がします。

 これらのことを考えるとき、やはり何か疲れてしまった自己を感じています。
 私は癒えることができるのか……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 いま私はここに、私が「コロナ禍にあっての創作行為」と表現する言葉の意味の一端を記しています。ですが「書店幻想」が癒やしや、あるいはカタルシスになるかどうかは、この幻の本屋さんを想像する人によると思います。

 しかし何か、新型コロナ蔓延のさ中にも収束後にもまだ仕事はあるし、できることは残っているし、今の地点から生き続ける/生きなおすことが出来るかも知れないと考えることは、少なくとも私にとっては希望です。
 実際に私がここに書いた「図面」を元に本屋さんを始めるかどうかということではなく、心に希望を持つことで暗いトンネルの中を進もうとしているばかりです。トンネルを出たところはどんなところか、いつ出られるのか、そもそもここはトンネルなのかというそれらの疑問について考えることを慎重に避けつつ、しかし手触りでは日々確認をし、「図面」を照らす火が消えそうになったら熾す方法を考え、歩いています。

 この日々がどこへ向かうか、私にはわかりようはずもありませんが、生きているから生きようとし続けるのみです。
 この「図面」が読者の皆様の心に火と言わないまでも、不安と戦おうする明るみを萌させることができたとしたら、私はそれだけで嬉しく思います。

 そんなことを考えながら、書き続けた創作物です。
 長い文をお読みいただきありがとうございます。
 いつかまたお会いできますように。

このブログの人気の投稿

「本の栞」別冊について

  これまで計画していたnoteのマガジン「本の栞」の別冊ですが、現在どのような形にするか検討を重ねています。有料配信とした場合、ホームページへのアップに関わる著作権の規定上の制約があることがわかりました。具体的には、掲載期限の上限をあらかじめ設定しなくてはならず、更新はできるものの、九人の作家全ての更新が難しい場合、課金をいただいたのに記事の一部を削除ないしは記事そのものを削除しなくてはならない可能性があることがわかりました。どのような形で別冊を執筆するか考えていますが、いま考えているのは「本の栞」出版の折に追加するという案です。(出版社さんとの打合せになるため、詳しくはまだわかりません。)当初予定より変更となってしまい、申し訳ありません。  12月15日頃、ブログを更新し、検討結果をお知らせいたします。(14日夜ブログを更新しました。12月8日の記事の修正です。 「noteに連載していた「本の栞」本編が完結しました。(2020年12月14日加筆修正)」 )  ※付記 2020年11月21日の記事 「 来年(以降)の創作活動について 」の内容を修正しました。 2020年12月2日の記事 「 私家版詩集のご予約について 」の内容を修正しました。 (下は、詩「耳ヲ澄マス水ノ輪デナイトイケナイノサ」を書いていた折の写真です。本の栞別巻の執筆風景ではありません。)

【更新】「書店幻想」ページを更新しました。

  更新  「書店幻想」ページを更新し、あらたに「フランチャイズ型コンビニ書店」の項目に「販売物」の概要説明を設けました。書いていて考えたのですが、そういえばこのコンビニ書店はどれくらいの広さの店舗なのか、あまり想定していませんでした。今のコンビニの1.5倍くらいでしょうか……  課題はイートインのスペースをどれくらいにするかと、本の品揃えをどうするかです。売れ筋を徹底的にそろえるとそれだけでスペースが埋まってしまいます。また各店の独自性を出すとなると、ある程度の量の選書棚が必要になり、そのコーナーについては客層が限定される可能性があることも想定しなくてはなりません。  また食品等、一般的なコンビニで売っている商品の量と種類をどうするかも課題です。あるいはもしかしたら一番の課題はバックヤードの広さかも知れません。何か考え始めるときりがなくなってきます。  まだまだ設計を始めたばかりですので、これから様々なアイディアを追加していきます。カウンターを介さずに注文と在庫検索両方が完結する端末とかも面白いなぁ、と思っています。クレジットカードによる支払い機能もつけて、その場で支払うか、受け取り時カウンターで支払うかを選べたり……  あたかも幻の裾野は際限なく広がっていくような気がします。

【更新】「書店幻想」ページを更新しました。

  更新  「書店幻想」ページを更新し、「アートギャラリーの設置」の項目に詳細を追加しました。幻書店にはいよいよ創作物を展示するコーナーまでできましたが、はてさて2階建てなのか、それともよほど広いのか、本の量が少なくて、棚の並べ方に工夫があるのか、幻の霞はどこまでも広範にたなびいていっています。  展示の受託期間でないときには、店主の創作物や原稿を展示するよう書きましたが、いくら見本といえ人によっては失笑しそうです。小倉信夫が店主だとして、その原稿を見たい人はいるだろうか……  しかし詳細をこう詰めてくると、立地のことも気になります。どんな所に建っているだろう……。アクセス性はいいのか、どんな町か、訪ねやすい所に建っているか、人通りにかかわらず商店などが多い立地なのか、住宅街にぽつねんとあるか、それともある程度の過疎地にあって地域をおこそうとしているのか……?  幻の霞はまだまだ広がっていきます。  もう少しで書店設計図面梗概は書き終わりそうですが、まだ先は続きそうです。